3月8日(木)は、ロルファーの田畑浩良さんとの対談です。
●田畑さんからロルフィングを受ける
田畑さんは、僕にロルフィングをしてくださった方です。田畑さんからロルフィングを受けたのは、たぶんもう10年以上も前になるでしょう。
田畑さんからロルフィングを受ける前、右半身が痺れてしまい、舞台に支障をきたすようになっていました。オリンピック選手を診ているという整体の先生のところに行ったり、脳神経外科に行ったり(はじめてMRIを撮った)、そのほかいろいろしたのですが、なかなか原因がわからなかった。
結局、頚椎が神経を押しているのが原因ではないかということで、「これは手術しかない」と言われました。首の手術です。失敗したら下半身不随のおそれもある。友人の臨床心理士などは、「まあ、そうなったら心のケアは俺がしてやるよ」なんて言っていました(笑)。
師匠に相談したら、手術はやめておけ、我慢しろということ。しかし、それはキツイ。
そこで、ロルフィングのことを思い出しました。
さて、それから僕もロルフィングを学んだのですが、その話は今回はパス。
僕がロルフィングを受けたときには、まだ少しはしてくれていたように記憶をしていますが、田畑さんのロルフィングは「何もしない」という方向に進化をしている。
「ロルファー・Tのロルフィング対話 in 代官山 vol.04」ということで、古武術の甲野善紀先生、ヒモトレの小関先生、NYの小林健先生、吉本ばななさんと、まざまな方との対談をされている中で、今回、呼んでいただきました。
●田畑さんからロルフィングを受ける
田畑さんは、僕にロルフィングをしてくださった方です。田畑さんからロルフィングを受けたのは、たぶんもう10年以上も前になるでしょう。
田畑さんからロルフィングを受ける前、右半身が痺れてしまい、舞台に支障をきたすようになっていました。オリンピック選手を診ているという整体の先生のところに行ったり、脳神経外科に行ったり(はじめてMRIを撮った)、そのほかいろいろしたのですが、なかなか原因がわからなかった。
結局、頚椎が神経を押しているのが原因ではないかということで、「これは手術しかない」と言われました。首の手術です。失敗したら下半身不随のおそれもある。友人の臨床心理士などは、「まあ、そうなったら心のケアは俺がしてやるよ」なんて言っていました(笑)。
師匠に相談したら、手術はやめておけ、我慢しろということ。しかし、それはキツイ。
そこで、ロルフィングのことを思い出しました。
80年代、僕は西海岸文化が好きで、いろいろ調べていたときに知った施術でした。90年のはじめ頃、Rolf Instituteだったかエサレンだったか忘れましたが、「ロルフィングを勉強したい」と尋ねたら、「解剖学・生理学を大学で修めた人しかダメだ」と言われて、それ以来、忘れていました。
日本でロルフィングの資格を持っている人がいるとは思わなかったのですが、それでも藁をもつかむ気持ちでインターネットで調べてみると何人かのロルファー(ロルフィングの施術者)がいることがわかりました。
でも、実は怪しい人が多かった(笑)。
僕は、スピリチュアル系の人には近づかないことにしているのですが、当時のロルファーはそういう人が多かったですね。
あ、一応言っておきますと、僕はスピリチュアル全般が嫌いだというわけではなく、「スピリチュアルが好き!」という人には、逃避系の系の人やメンヘラ系の人が多いので(そういう人も嫌いではないのですが)、近づかないようにしているのです。
あ、一応言っておきますと、僕はスピリチュアル全般が嫌いだというわけではなく、「スピリチュアルが好き!」という人には、逃避系の系の人やメンヘラ系の人が多いので(そういう人も嫌いではないのですが)、近づかないようにしているのです。
で、田畑さんからは全然、そうい匂いがなかった。
そこで、田畑さんに連絡をして通い始めました。
正直いって、そこから先の事はあまりよく覚えていません。ロルフィングでしびれが治ったと言う自覚は全くありませんでした。でも、気がついたらしびれがなくなっていた。
師匠を始め、周りの人から「しびれはどうした」と聞かれて、はじめてしびれがなくなっていたことに気づいたのです。
●何もしないロルフィングと何もしないワキ(能)
田畑さんだけでなく、ロルフィングと言うのはクライアントの主訴を基本、無視します。たとえば「腰が痛い」とか、「肩が凝っている」とか、そういう訴えを無視する。ただ、すべきことを淡々とします。そのうち、ひょっとしたら主訴の症状は治るかもしれないし、治らないかもしれない。それがロルフィングなのですが、その「主訴完全無視」の究極のロルファーが田畑さんなのです。
さて、それから僕もロルフィングを学んだのですが、その話は今回はパス。
田畑さんからロルフィングを受けて、10年以上経ったのですが、友人でも田畑さんからロルフィングを受けたと言う人がたくさんいます。
いま超多忙を極めている玉川奈々福さんなどは、田畑さんのおかげで過酷な日々を乗り切れているといます。しかし、ロルフィングを受けているときには、何をされているのか全然わからなかったと(笑)。田畑さんはロルフィングの間、ほとんど何もしないと言うのです。
僕がロルフィングを受けたときには、まだ少しはしてくれていたように記憶をしていますが、田畑さんのロルフィングは「何もしない」という方向に進化をしている。
さて、今回の対談のテーマは、これです。
何もしないことによって変化を生み出す。それがテーマです。
●あわいのワキも何もしない
僕は、能のワキ方に属しています。
ワキ方というのは、脇役という意味ではありません。ワキとは「分く」、すなわち2つの物の「分け目」、「境界」をいます。
能のシテ(主人公)はこの世の存在ではないものが多い。例えば幽霊、例えば神、あるいは精霊。ふだん私たちが死んでいる、「この世」とは違うところに住んでいる存在です。ですから普通の人はそういうモノに会うことができません。しかし、ワキはそういうモノに会うことができる。
会うことができるだけでなく、そういうモノの存在を、自身を通して観客に見せることもできる。それがワキです。
会うことができるだけでなく、そういうモノの存在を、自身を通して観客に見せることもできる。それがワキです。
ワキというのは、この世に住みながら、あの世ともつながることができる。すなわちこのふたつの境界、すなわち「あわい」に住まいする者、それがワキです。
ちょっと細かいことを言うと、「間」と「あわい」はちがいます。
「間(あいだ)」と言うのは物と物の(それこそ)間をいいいます。それに対して「あわい」と言うのは「会う」が語源の語で、あるものとあるものとの重なり部分、そこを「あわい」というのです。ワキは、このあわいに住んでいます。
それを晴らしにやって来るのですが、悩みや思いは深すぎると、自分でもそれをうまく表現することができない。いや、表現どころか、自分がどんな悩みがあるのか、どんな思いがあるのかを認識することすらできない。
ワキのするのは「問う」という行為によって、それを明確にすることです。
しかし、ワキの「問い」は最低限の問いです。それも思いや悩みとは関係ない問い。たとえば「ここはどこですか」とか「その歌を歌ったのは誰ですか」とか、そんなどうでもいい問い。
しかし、その問いがきっかけとなり、シテは自分の思いを語り始め、やがて舞い始める。
しかし、その問いがきっかけとなり、シテは自分の思いを語り始め、やがて舞い始める。
そうしたら、あとはワキは何もしない。いや、正確にいえば、それは正しくない。
全身全霊をこめて「何もしない」ということを「する」のです。
●「誠」も何もしないで変化を起こす
僕は東京を中心に「寺子屋」をしているのですが、いま『中庸』を読んでいます。儒教を学ぶ人の必読書である「四書五経」の四書の中の一冊です。
『中庸』の後半のテーマは「誠」です。「誠」の力を中庸では…
僕は東京を中心に「寺子屋」をしているのですが、いま『中庸』を読んでいます。儒教を学ぶ人の必読書である「四書五経」の四書の中の一冊です。
『中庸』の後半のテーマは「誠」です。「誠」の力を中庸では…
「勉めずして中たり、思わずして得、従容として道に中たる」
…と書きます。
努力をせずともぴたりと符合し、あれこれ考えなくても何でもゲットでき、そして自然にしていても「道(タオ)」にも合致している。それが「誠」の力です。
新渡戸稲造は、それを「動かずして変化を作り、無為にして目的を達成する力」といいます。
そして、「誠」に達した人(至誠)は、自分は何もしなくても、その人の持っている本来の力を十全に引き出すことができると『中庸』にあります。
それはまさに田畑さんのロルフィングであり、そして能のワキの機能でもあります。
田畑さんは「誠」のロルファーなのです。
3月8日には、そんなことを田畑さんとお話しながら、なんと田畑さんのワークもあるとか!すごいっ!
すごく楽しみです。
詳しくはこちらで→「晴れたら空に豆まいて」
…と書きます。
努力をせずともぴたりと符合し、あれこれ考えなくても何でもゲットでき、そして自然にしていても「道(タオ)」にも合致している。それが「誠」の力です。
新渡戸稲造は、それを「動かずして変化を作り、無為にして目的を達成する力」といいます。
そして、「誠」に達した人(至誠)は、自分は何もしなくても、その人の持っている本来の力を十全に引き出すことができると『中庸』にあります。
それはまさに田畑さんのロルフィングであり、そして能のワキの機能でもあります。
田畑さんは「誠」のロルファーなのです。
3月8日には、そんなことを田畑さんとお話しながら、なんと田畑さんのワークもあるとか!すごいっ!
すごく楽しみです。
詳しくはこちらで→「晴れたら空に豆まいて」