2018年3月初旬には、おふたりとの対談があります。

最初は3月6日(火)にミシマ社さんから『21世紀楕円幻想論』を出された平川克美さん、そして8日(金)にはロルファーの田畑浩良さん。ともにとても楽しみなので、その話を書こうと思います。

まずは6日(火)の平川克美さんとの対談から。

平川さんには隣町珈琲(荏原中延)での講座でお世話になっています(隣町珈琲は平川さんがオーナーです)。去年は『論語』をし、今年は『古事記』をしています。去年の『論語』の講座は、春秋社から『あわいの時代の『論語』: ヒューマン2.0』として書籍化され、いまお話している『古事記』も書籍化の話があります。

講座には、平川さんも何度も顔を出してくださり、ご挨拶やちょっとしたお話はさせていただいているのですが、ちゃんとお話をするのは今度の対談がはじめてです。

今回は『21世紀楕円幻想論(ミシマ社)』(平川さん著)を巡っての対談です。

楕円幻想論


その日暮らしの哲学」という副題が付けられている本書は…

一年前に、会社を一つ畳んだ。

…という書き出しからはじまる「まえがき」が巻頭に置かれます。続いて、それによって全財産を失ったこと、そして同じ時期に肺がんの手術で右肺の三分の一を失ったことという、下手をすると暗渠に引きずり込まれて、読者までもが暗闇の濁流にのみ込まれそうな話題を、たとえば「臓器移植の悪魔のセールスマンも、無い肺は売れない(言い過ぎですね)」という具合になんともあっけらかんと書く。

そして、「贈与は奴隷をつくり、鞭が犬をつくる」という、お礼をいわれることを拒否するエスキモーの狩人の話やら、平川さんご自身のご尊父介護の話やらから「全体給付のシステム」と「等価交換システム」について、さまざまに語られるのですが、これがとてもわかりやすくて、めっぽう面白い。

●等価交換

僕たちのふだんの経済活動は「等価交換システム」です。

たとえば何か商品を買うと、それに見合ったお金を支払う。等価の「商品」と「貨幣」が「交換」されます。当たり前ですね。

マーケティングの黎明期に、アメリカン・マーケティング・アソシエーションがマーケティングの定義を毎年、変えていた時期があって(って今は知らないのですが)、基本は「マーケティングは『交換』である」というのがあり、まずは…

商品と「貨幣」との交換

…と言っていたのですが、経済社会が変わると、やがて…

サービスと「貨幣」との交換

…になり、それが…

知識と「貨幣」との交換

…などなどいろいろ変化するのですが、でも「交換」「貨幣」は変化しない。

まあ、これも当たり前といえば当たり前。でも、よく考えると何か変ですよね。少なくとも、自分の肌感覚からすると、「あれ、ちょっと変…」と感じてしまいます。

なぜ「貨幣」と「交換」は固定しているのか。

特にF.コトラーが『非営利組織のマーケティング戦略』なんか書いちゃうと、教会も学校も「貨幣」との「交換」の場だと認識されてしまう。でも、「交換」ではないものもたくさんある。

たとえば僕は寺子屋をやっていて、それは「お賽銭形式」なのですが、これがよく誤解されます。東京以外で、主催してくださる方が「素晴らしいと思ったらたくさん入れてください」なんて言われます。いわゆる「投げ銭形式」ですね。でもそれは全然違う。

「投げ銭形式」は僕の話と貨幣との「交換」になります。しかし、交換をするためには、そこには評価が入る。僕は評価される気は毛頭ないし、自分の講義と貨幣との交換だなんてまったく思っていない。

今回、平川さんや田畑さんと対談をするのですが、それは出講料がいくらだから出るのではなく、相手が平川さんや田畑さんだから出る。交換なんかでは、全然ないのです。

●等価交換

だいたい「等価交換」だなんて、本当は誰も考えていないでしょ。

たとえば僕が、あるものを2,000円で買うとする。そのとき、心の中では「これ、2,000円にしては安いなぁ。ほんとは2,500円の価値があるぞ」なんて思っているわけです。

逆に売る方からすれば「本当は1,500円の価値しかないけど、2,000円で売れた。500円、儲けたわ」と思っている(これはダマしているのではなく、それが利潤になります)。

…で、みんな心のどこかでとなると、「等価交換」なんてないと知っているし、そんなもの、なくて当然だと思っている。本当に「等価交換」なんてしていたら、(少なくとも会社の方は)税理士さんからも公認会計士さんからも税務署からも叱られてしまうのです。

●全体給付のシステム

そんなわけで、僕はこの世の中には「等価交換」なんてありはしないと思っているので、基本的に経済活動を信じていないし、だからというわけでもないのですが「非・交換」的な行動をよくしています。

まあ、そこら辺は対談でいろいろお話をしますが、しかしなぜ自分がそれをするのか、あるいはそれをする意味がうまく説明できなかった。周りからは「バカなんじゃないの」と言われたり、そんな目で見られたりする。

あるいは、「あんなにしてもらったのにお礼も言わないで失礼な奴だ」と言われたりもする。

または「それによって、本当は何かを得られるからするんでしょ」なんて言われたりする。

論理的な思考は、あまり得意ではないので、「本当は何かを得られるんでしょ」なんてことを言われ続けていると「そうか。自分は何を得ているんだろう」なんて考えてしまう。あるいは「自分はアホなんやな」なんて思ってしまう。でも、やっぱり違うと思っていた。でもでも、答えが見つからなかった。

が、平川さんの本で、それは「全体給付のシステム」にのっとる活動で、実はそれはそれでアリ…どころかなかなかいい手だということを知ったのです。

…と、いろいろ書いていくと当日、話すことがなくなってしまうので、そろそろやめますが、この本の副題「その日暮らしの哲学」は、まさに僕の生き方そのもので、そして60歳を過ぎた今の目標として「その日の暮らしにも困りつつも優雅に生きる生き方」を目指しています。

そんなわけで、平川さんとの対談はとても、とても楽しみなのです。

この対談で、お金持ちには(絶対に)なれないけれども、いろいろなことがスッキリして、なんか身が軽くなるのではないかと思っています。

あ、そうそう。「楕円幻想論」とは何かは、どうぞ本をお読みになるか、あるいは当日をお楽しみに〜。

まだお申込みでない方は、ぜひお早目に!

*****記*****

2018年3月6日(火)19:00〜20:30(開場 18:30〜)
@青山ブックセンター 本店 大教室
料金 1,350円(税込)
お問合せ先
電話:03-5485-5511 受付時間:10:00〜22:00

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