「21世紀の第3の場所の行方」
2017年 6月3日(土)13:30 〜 15:00
鼎談:
林 信行(ジャーナリスト) × ドミニク・チェン(情報学) × 安田登(能楽師)

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今年の山のシューレでは、ジャーナリストの林信行さん、情報学者でオンラインコミュニティやゲームソフト開発者のドミニク・チェンさんと鼎談をします。

▼「心」の賞味期限切れ

気持ちのいい人間関係、楽しくてやりがいのある仕事。多くの人がそれを望んでいるのに、しかし毎日の生活はこれとはまったく反対。息がつまることが多い。

なぜだろう。

古代中国では約3,000年前に「心」という文字が生み出され、それから人は「心」に支配されるようになりました。「心」は、それまでは変えるなんて考えてもみなかった未来を変える能力である「夢」や「希望」を人に与え、過去からの遺産を引き継ぐ「智慧」を生み出し、人類の生存率を驚異的に高め、多種多様な文明文化をも創り出しました。

しかし、希望を生み出した未来は同時に「不安」を孕み、智慧を生み出した過去は「後悔」や「羞恥」をも私たちに与えました。

希望や智慧という心の「作用」と、不安や後悔という心の「副作用」は、長い間、バランスを取りながら共存していましたが、近年、その副作用の方が急速に力を増していることは私たちの実感するところです。

不機嫌な人々、不安な日々、なんとなくつまらない毎日。生存のための「心」のせいで、自らの命を絶つ人たちもふえています。

これはそろそろ、3,000年前に生まれた「心」の賞味期限切れを暗示しているのではないでしょうか。

▼新たな世界の予感

…などという話を、この10年ほどずっとして来ました。今回の鼎談では、それを最新のテクノロジーから検証できるのではないかと(個人的には)思っています。

10万円ほどのコンピュータに入っている程度の人工知能が、全人類の知能の総和を上回ると予測されるシンギュラリティは2045年にやってくるといわれています。そして、それに先んずる形で、2030年には人工知能がひとりの人間の知能を上回るときが来ると予測されています。そんなに遠くない未来です。

いや、それどころか、東京オリンピックの年である2020年に向けても大きな変化が予測されているのです。ほんと、もうすぐです。

ロボットやアンドロイドによって人々の仕事は奪われ、しかし人は不死にも近い寿命を手に入れる。VR、AR、MRのさらなる発達によって現実と仮想の区別はなくなり、まるで映画『マトリクス』のような世界が出現する。

そんな世界が、気がつけば目の前に迫っているのです。

「そんなバカなことがあるはずがない」

私たちは、そう思ってしまいます。確かにそんなことは起こらないかもしれない。しかし、あらゆる変化は水面下で徐々に蠢きながら、目に見える形としては突然出現します。これは歴史を見ればよくわかります。

▼那須の自然の中で未来を考える

林信行さんは、スティーブ・ジョブズが信頼していた数少ない日本人のひとりです。林さんからは、私たちの目には触れていないテクノロジーの現在と、これからの進歩の様子をお聞きできると思います。


また、MITメディアラボの伊藤穣一さんとも親しいドミニク・チェンさんからも、テクノロジーの現在をお聞きします。また、ドミニク・チェンさんは人間に優しいコンピューティング(ポジティブ・コンピューティング)や発酵の研究もされているので、そちらのお話も楽しみです。


私(安田)は、前のシンギュラリティである「文字と心の誕生」の話をしつつ、おふたりからいろいろとお話を引き出したいと思っています。

この手の議論は、「頭」の話題になりがちです。しかし、那須の自然の中で、そして二期倶楽部という快適な住環境の中で、もっと身体性に注目をした未来を考えたいと思っています。

建築を生み出したことによって、人が洞窟の中から出て来たように、いま私たちは新たな「場所」を探求する時期に来ているのかもしれません。

週末の那須の自然、贅沢な時間と空間の中で、ゆったりと考えてみたいと思います。

東京から新幹線で1時間。ぜひ、お出ましください。

会場|二期倶楽部:観季館小ホール
受付|観季館総合受付
料金|¥4,000(税込)


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日時|6月3日(土) 鼎談13:30 〜 15:00 
詳細・お申込みは、山のシューレ公式サイトから
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林信行|Nobuyuki HAYASHI(ジャーナリスト)
1967年、東京都生まれ。フリーのジャーナリスト、コンサルタント。ビジネスブレークスルー大学講師。ジェームズダイソン財団理事。グッドデザイン賞審査員。「iPhoneショック」など著書多数。日経産業新聞「スマートタイム」、ベネッセ総合教育研究所「SHIFT」など連載も多数。1990年頃からデジタルテクノロジーの最前線を取材し解説。技術ではなく生活者主導の未来のあり方について講演や企業でコンサルティングも行なっている。

ドミニク・チェン|Dominick CHEN
1981年生まれ。フランス国籍。博士(学際情報学)、2017年4月より早稲田大学文学学術院・准教授。メディアアートセンターNTT InterCommunication Center[ICC]研究員/キュレーターを経て、NPOコモンスフィア(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)理事/株式会社ディヴィデュアル共同創業者。2008年IPA未踏IT人材育成プログラム・スーパークリエイター認定。オンラインコミュニティやゲームソフト開発を行う。NHK NEWSWEB第四期ネットナビゲーター(2015年4月〜2016年3月)。2016年度グッドデザイン賞・審査員「技術と情報」フォーカスイシューディレクター。 
主な著書に『電脳のレリギオ』(NTT出版)、『インターネットを生命化する プロクロニズムの思想と実践』(青土社)、『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック クリエイティブ・コモンズによる創造の循環』(フィルムアート社)等。訳書に『ウェルビーイングの設計論:人がよりよく生きるための情報技術』(BNN新社)『シンギュラリティ:人工知能から超知能まで』、『みんなのビッグデータ:リアリティマイニングから見える世界』(共にNTT出版)。

安田 登|Noboru YASUDA(能楽師)
1956年生まれ。下掛宝生流ワキ方能楽師。米国RolfInstitute公認ロルファー。能楽師として、東京を中心に舞台を勤めるほか、年に数度の海外公演も行い、また国内外の学校や市民講座、様々な学会などで能や能の身体技法得をテーマとしたワークショップを開いている。能、ロルフィング、身体技法、教育など幅広い分野で活動している。著書に『ワキから見る能世界』、『能に学ぶ身体技法』、『身体感覚で「論語」を読みなおす。』、『身体感覚で「芭蕉」を読みなおす。』『あわいの力』『本当はこんなに面白い「おくのほそ道」』など。