●数字の「九」

数字の「九」を見つけることができたでしょうか。正解はこれです。

0212nine

これがわかった人に、「なぜわかったんですか」と聞いたところ、「こうして横にして見た」といいます。

なるほど!本当に頭、柔らかい!

0212nine_yoko

これは腕を「キュウ」っと曲げた形です。

02nine_kin金文の九は、この腕を曲げた形をよくあらわしていますし、いまの「九」にも似ていますね。

青銅器に鋳込まれた金文は、最初は粘土に彫るので曲線も作れますが、甲骨は硬い骨にガリガリ刻むので、キュウって感じにはなりません。許してあげてください。

ちなみに「究=窮」の中にその元の意味が残っていますね(「究」の中の「九」わかりますか)。

あるいはこれは「龍蛇の形」だという説もあります。

●数字についている字(1)四についている字

では、数字についている字も、数字といっしょに見てみましょう。

一番簡単なのは、これかな。わかりますか。

0208bshihou

下の字は、どこかで見たことがあるでしょうか。周りにあるでっぱりを取ってしまうとわかるかも。

0208hou  →  0208hou02

そうです。

これは「方」の字です。

甲骨文では「方角」という意味で使われるときと「国」という意味で使われるときがあります。

漢字の形としては、横にわたした木に、人(02hito)を架した形だといわれています。

これを国と国との間において境界の呪禁とするので、「外方」・「辺境」の意となるとするのは白川静氏です。

あるいは首に枷をつけて奴隷や生贄を「方(なら)べる」という説もあります。あるいは両端に張り出した柄がついたスキの形という説もあります。

漢字の語源というのは、いろいろありますね。

というわけで「四」がつくと「四方」ですね。

●数字についている字(2)九についている字

次は九についている字です。

0213inu

さあ、わかりますか。

これはわかった人が多かったなぁ。

横にするとわかりやすい。これです。

0213inu_yoko

そうです。「犬」です。「狼!」とかいう意見もありますが、それでもいいでしょう。

というわけで「九犬」、九匹の犬です。

●数字についている字(3)三についている字

三についている漢字は今の漢字にはありません。

0210kyou

これは「人(上記参照)」の上に「羊」の頭が乗っています。

「羌」(きょう)という漢字です。異民族の名前です。

現在も中国にいて、後のチベット民族か?といわれています。先日の四川大地震でも、もっとも大きな被害を蒙った民族のひとつです。

羊の頭に人の身体というのは、またまた『羊をめぐる冒険』の羊男みたいですね。

●人狩り

羌族の人たちは、殷の時代にはよく生贄として捧げられましたた。人狩の対象にもなっています。『猿の惑星』とか『アポカリプト』の映画で、人狩が行われていたのを思い出します。

「異民族」という言い方もひどいですね。

02kyou02ちなみにこの字は普通はこのように書かれます。となると、ここで使われている字(↑)には首枷すらついているということです。すでに人狩をされて捕まった後ということですね。

ちなみに、殷を滅ぼした周の始祖は「姜源(きょうげん)」といいます。

『羌族詞典(羌族の辞典)』によると、「姜」族は羌族から初期のころに分派した民族だとあります。同じ一族ですね。

ひょっとしたら3,000年以上も前の人には「心」というものがなかったかも知れないという話を前に書きました。

人狩にあっていた羌族の人たちも、むろんそれはそれでイヤだったけれども、「心」がない状態(すなわち未来への志向がない状態)では、だからといって復讐しようなんて思わなかったかも知れない。

でも、その中に「心」が芽生えてきた人たちが生まれ、長い期間をかけて復讐を遂げたのが「殷周革命」なのかも知れませんね。

ちなみに宮城谷昌光氏の小説『太公望(上・中・下)』は、羌族の太公望の物語です。面白いですよ。