この数週間、引越しでバタバタしており、ちゃんとまとまったものが書けず、申し訳ございません。むろん、その間にも舞台もあり、前から決まっていたワークショップやら講座やら合宿やらもあるので、その合間を縫った引越しはなかなか大変です。

さて、引越しは人生最大の苦しみではありますが、しかし同時に楽しみもあります。その楽しみとは忘れていた本を見つけ出すことです。

が、これまた同時に、これが引越しに要する時間を大幅に増大させてしまうものでもあるのですが、今回の収穫はかなり長い間埋もれていた洋書です。それも、まあ言ってしまえばポルノ小説。

一冊は『Her』、もう一冊は『John and Mimi』。

●『Her』

高校の夏休みに「『老人と海』を原書で読め」という課題が出ました。

育った土地が銚子市の海鹿島(あしかじま)という、名前からして、もうモロ海の近くで、しかもうちは海岸から歩いて三歩のところにあったので、『老人と海』なんかはそんじょそこらに飽きるほど見ているので、とても読む気にならない。

買ったは買ったのですが、最初の数行読んで放っておきました。

そんな折、巡回の古本屋さんが海鹿島に来ました。巡回の古本屋さんってすごいでしょ。見たことある?

で、その古本屋さんが洋書も何冊か扱っていて、そこで見つけたのが『Her』でした。

田舎の高校生ですから洋書を一冊読破!なんてことはなかなかできない。それがこの『Her』はしちゃったのです。むろん、それはポルノだったから。

でも、実はこの『Her』はポルノといっても、そんじょそこらのポルノとはわけが違う。ちょっと有名な本で、確か日本語訳も出たかなあ(日本語訳は読んでいないので不確定)。どっちかというとシュール・レアリズムっぽい小説です。

むろん買うときにはそんなこと全く知らなかったけど。

今回、引越しの合間にちょっと読んでみたのですが、別にエッチというわけではない。けど、身体表現がすごくいい。特にキス・シーンなんかはすごい!

かつ、全身性欲の高校生ですから、もうほんのちょっとのことで興奮しちゃいます。

この本によって、それまでの

「英語→苦痛」

という脳内構造が・・

「英語→快感」

・・に変わった思い出の一冊でした。

でも、今回読み直して、難しい箇所はほとんど読み飛ばしていたことにも気づいた。

「洋書を読むときには、わからないところは読み飛ばす!」

これもこの本で教わったことでした。

この本の作者(といっても匿名)は『Him』とか『You』とか『Us』なんかも書いています。

●『John and Mimi』

次の『John and Mimi』は、ダスティン・ホフマンとミア・ファローの『ジョンとメリー』の原作をパロディった、これまたポルノ小説。

『ジョンとメリー』は、ある章はジョンの独白で、そしてある章は、同じ時間のメリーの独白で書かれていて、ふたりが全く違うことを考えていながら、しかしある会話をしている面白さで物語が進行します。

『John and Mimi』も同じ構成です(途中からかなり変わるけど・・)。

この本は映画『ジョンとメリー』を観て、小説『John and Mary』を読んで、それから読むとより面白い本です。

映画も面白い。ミア・ファロー、いいです。『フォロー・ミー』も観たい!ビデオでもDVDでもないかなあ。