広尾(東京)にある「東江寺(とうこうじ)」さんで子供たちに謡を教えたりしているのですが、せっかくお寺なので来年から寺子屋をやろうということになりました。

日程やら何やらは未定ですが、だいたい月2回くらい。夜7時くらいから一時間ほどかなと思っています。あまりたくさんの人は入れないのですが、子供、大人の別なく、ただし騒いじゃう子どもは遠慮いただくということで計画中です。

内容としてはまずは『論語』と、それから小謡(こうたい)をする予定です。

江戸時代の寺子屋というと漢文の素読というイメージがあるのですが、同時に小謡もやっていたようです。

小謡というのは能の中から一部を抜き取って、それを謡うもので、まあオペラなんかのアリアをイメージしていただけると近いかも知れません。が、オペラのアリアが主にひとりで歌うものなのに対して、能の小謡は「地謡(じうたい)」という数人で謡われるものが中心です。

結婚式で謡われる「高砂や〜」なんかが有名ですね。

江戸時代の小謡の本を見ると、小謡のほかに礼儀作法や日常生活を送る上でのさまざまな知識、能のストーリーの紹介や古典についてのお話などが載っています。礼儀作法の中には「道で貴人に会ったときの挨拶の仕方」や「お代わりの仕方」、「汁物のお代わりの注ぎ方」などもあって面白い。

小謡を学びつつ社会で生きていくための生活の知恵も身に付けていたんだなということがわかります。

それは生活の中の儀礼が小謡を中心に行われていたという事実とも関係があるようです。結婚式の「高砂や」だけでなく、成人式や上棟式、新年の行事やさまざまなお祭りも小謡とそれを差配する「指図人」という人たちを中心に行われていたようです。

あ、ちなみにこの小謡の本やここら辺の知識は、能の笛方、森田流の槻宅聡さんが集められたものです。

現在、寺子屋準備のために石田梅厳を研究中!(ってほどでもないですが)