能楽寺子屋(2)舞その2:唱歌(2)干(かん)

▼天籟能、あと一ヶ月!

「能を観るのは初めて!」という方でも眠らずに観ることができ、

「もう何度も観ている」という方にはさらに深くご覧になれるような能の会を!

…とはじめた「天籟(てんらい)能」がいよいよ一ヶ月先の…
 
8月7日(土)国立能楽堂 13時開演(終演予定16:30)

…に迫りました。

今回の演目は、名曲中の名曲『羽衣』と、室町時代以降ほとんど上演されなかった『真田』です。

『羽衣』を舞われるのは、当代、舞の美しさでは右に出る人がいないといわれる梅若万三郎師です。一度は漁師に取られた羽衣を着た天女が、舞を舞いつつ天に昇っていくという能ならではの作品です。

また『真田』は、現代の能にはあまりない「切組(チャンバラ)」が舞台上でこれでもか、これでもかと繰り広げられる能です。

<静>の『羽衣』と<動>の『真田』、そして狂言は『萩大名』。

料金
正面指定S席 10,000円 
正面指定A席 8,000円 
脇正面指定 6,000円 
中正面自由席 4,000円 

※「てんらい会員」の方は1,000円引きになりますが、今回は何枚申し込まれても1,000円引きにさせていただきます。5枚申し込めば5,000円引きです。

天籟能の会事務局 tel:080-5520-1133 
e-mail:noh@watowa.net 
主催:天籟能の会/てんらい

お申し込み、お待ち申し上げております。

詳しくは「天籟(てんらい)能」 を!

▼まずは復習


さて、天籟(てんらい)能を、さらに楽しんでいただくために行っている寺子屋ですが、すでに3回が行われ、園様子を書いています。

前回、「中(ちゅう)之舞」の唱歌(しょうが)の最初の部分をご紹介して、「あとはご自分でどうぞ〜」だったのですが、ほかの部分もぜひ!というご要望をいただきましたので、残りの部分もご紹介します。

「中之舞」の唱歌の全体は以下のようになります。

オヒャーラーイ ホ(オ)ウホウヒー
オヒャイヒョー イヒャーリウヒー
オヒャラーリ ヒウーイヤー
ヒウルー イヒャーリウヒー

前にやったは最初のもの(オヒャーラーイ ホ(オ)ウホウヒー)です。

まずは最初のものの復習をしておきましょう。

オヒャーラーイ ホ(オ)ウホウヒー




▼3番目を謡う

今回はひとつ飛ばして3番目(オヒャラー ヒウーイヤー)を謡ってみましょう。

「オヒャーラー」までは一緒ですね。次の「」で音が上がります。では、どうぞ。



▼呂と干

実は、この四行の唱歌(しょうが)には名前があります。

一番最初のものは「呂(りょ)」。「呂」は「ろ」とも読みますが、低い音という意味です。

「オヒャーラー」で、音が下がって、下の句(ホウホウヒ)が低い音になるます。低い音を使うので「呂」という名前です。

そして、今日謡った3番目は「干(かん)」といいます。
 
我々は伝統的にこの字(干)を使っていますが、この「干」は甲高いの「カン」です。

「オヒャーラー」で音が上がり、後半(ヒウイヤ)では高い音をなびかせているので「干(かん)」といいます。

▼全体の名前

残りは次回にお話をしますが、全体は以下のように名前がついています。

中之舞唱歌



能楽寺子屋(1)舞その1:声に出して謡いたい唱歌(しょうが)

8月7日(日)に行われる「天籟(てんらい)能」を、とことん楽しむための「能楽寺子屋」を開催中です(1回〜3回は終了)。

第1回 5月24日(火) 「能と狂言を楽しむ」−能・狂言入門−
第2回 6月16日(木) 能「羽衣」の魅力(1)羽衣、ワキ、笛の秘密
第3回 6月28日(火) 復活能「真田」の魅力−シテ方をお迎えして−


第4回 7月12日(火) 能「羽衣」の魅力(2)囃子
第5回 7月19日(火) 能「羽衣」の魅力(3)月宮に昇る天女
第6回 7月27日(水) 公演直前まとめ−初めての方もぜひ− 

能楽寺子屋は広尾のお寺、東江寺(とうこうじ)さんで19時から開かれます(終了予定21時)。受講料は「お賽銭」ですので、どうぞお気楽にお出ましください。また飛び込みも歓迎ですが、資料作成の都合上、できれば事前にメールをいただけると助かります。

info@watowa.net

東江寺 東京都渋谷区広尾5-1- 2 →地図


すでに終了した第1回〜第3回の中から、いくつかのトピックをご紹介していきます。

まずは「舞」について。

▼舞(まい)で寝ちゃうのはもったいない

今回の「天籟能」の能の演目は『羽衣』『真田』

天(あま)の羽衣をまとった天女が優美な舞を舞いながら天上世界に昇っていくという、美しい能『羽衣』と、多くの演者が舞台狭しとチャンバラをする『真田』という対照的なふたつの演目をお送りします。

「舞」は、能『羽衣』のメインとなるものです。

松にかかっていた美しい衣、羽衣を漁師である伯龍(はくりょう)が拾います。それは「天人の羽衣」なので返してほしいという天女に、「そんな素晴らしいものならば余計に返せない」とつれない伯龍。返せ、返さないの問答の末、あまりに嘆く天女を見て、漁師伯龍もさすがにかわいそうになり羽衣を返すことにします。

しかし、交換条件がひとつあります。それはその羽衣をまとって天女の舞を見せてもらいたいということ。

まあ、ここでいろいろあるのですが、それは今度、お話することにして、天女は羽衣を着て舞うのです。

能では、この舞が最大の見どころです。

が、ひとつ問題が…。

舞が始まると謡(うたい)がなくなってしまうのです。すなわちコトバがない

「謡だって何をいっているか全然わからない」という人がいますが、それでも何もないよりはまし。能の笛である能管を中心に、大鼓、小鼓、太鼓によって囃され、その曲に乗って(か、乗らぬかそれすら不分明)ゆったりと舞われる舞。

もっとわけわかんなくなる。そりゃあ、眠くなるのも当たり前。

もっとも大事な部分の割りには、眠っている人が一番多いのも、この「舞」なのです。

でも、それはもったいない!

…というわけで、2回目と3回目に舞を楽しむための寺子屋をしました。

以下のお話は能楽師、笛方(森田流)の槻宅(つきたく)聡(さとし)さんのお話です。

▼まずは「中(ちゅう)之舞」を聞いてみよう

『羽衣』で舞われるのは「序之舞(じょのまい)」と呼ばれる舞です。このほかに「中(ちゅう)之舞」、「破(は)之舞」、「早舞」、「神舞」、「男舞」などがあります。

ちなみに能の舞には、このほかに「神楽(かぐら)」、「楽(がく)」、「鞨鼓(かっこ)」、「獅子(しし)」、「乱(みだれ)」などがありますが、これらのものと「序之舞」以下のものとの違いはわかりますか。

そうですね。前者にはみな、「舞」という言葉がついています。この「舞」がついているものは、みな非常に似通った構造をもっています。そして、これらの「舞」の基本は「中(ちゅう)之舞」なのです。

ということで、ここでは「中之舞」でお話をしていくことにしましょう。中之舞の構造を理解するとほかの舞も理解できるようになります。

では、まず 「中之舞」のほんの一部を聞いていただきます。



「いかがでしたか」

…と寺子屋で皆さんに尋ねると「・・・」という反応。

そうですね。反応のしようがありません。何を言ったらいいか、わからない…というか、何をやっているかわからない。

▼唱歌(しょうが)を謡ってみよう

実は私たちは、これをコトバで覚えます。それを「唱歌(しょうが)」といいます。

文部省「唱歌」のときには「しょうか」と発音しますが、能の笛では「しょうが」といいます。

では、その唱歌を謡ってみますね。



みなさん、まだよくわからない顔をしている(笑)

でも「ミニマル・ミュージックみたいだ」という声もありました。

▼一緒に謡います

「では、今度は皆さんとこれを一緒に謡ってみましょう!」

…といって全部を謡ったのですが、それを全部載せるのもナンなので、最初の部分だけを載せます。



…と寺子屋では、このように短く切りながら、「中之舞」の唱歌をみなさんと何度か繰り返して謡いました。

寺子屋には参加せずに、このページだけをご覧になられている方は、この前の「唱歌」の動画にあわせて何度か謡ってみてください

あ、覚えようとする必要はありません。

また、ひとりでするのは恥ずかしかったり、面倒だったりするので、そういう方はぜひ寺子屋に足をお運びください。

▼唱歌を謡ったあとに笛を聞くと


そんな風にして何度か謡ったあと、また中之舞を聞いてみます。



すると、あら不思議、最初は何がナンだかわからなかった能管が「オヒャーラー」と聞こえるようになるのです。

コトバ化され、分節化された音は、突然意味のあるものになるのです。

※分節の「分」の「わける」は「わかる」。分節化された途端に「わからない」ものが、「わかる」ものになるのです。

▼繰り返しと「知らせ」

能の中の舞では、これが何度も繰り返されます

ときどき「ヲロシ」などの特別なことが行われることがありますが、基本はこれが繰り返されると思ってください。

何度も繰り返すといいましたが、いまは「何回繰り返す」ということは決まっています。しかし、様式性がそれほど固まっていなかった時代には、気分によっていくらでも長く舞ったりすることができでしょうし、短くすることもできたようです。

じゃあ、繰り返しが終わるのは何でわかるかというと、舞っている人が扇や足拍子で「知らせ」というこをします。するとそこに「区切り」ができます。そして、「段」ができるのです。

「段」ができると、また分節ができ、さらに「わかる」ようになります。

が、これについてはまたお話をしましょう。

▼序之舞

いま、みなさんと謡ったのは「中之舞」ですが、『羽衣』で舞われるのは「序之舞」です。

「序之舞」は、最初に「序」という特別な足遣いがあります。これに関してはまた。

そして「中之舞」に比べると、ゆったりになります。お聞きください。



▼神舞

では、神様の舞である「神舞」もお聞きください。



この録音の中にも「おお」という声が(かすかに)入っていますが、これが終わったあと会場からは「おお!」「おお!」というどよめきが。

そう。こんなに早くても、基本はさっきの唱歌(しょうが)なのです。

さて、では、これにどんな動き(舞)がついていくのか。それは第3回目にシテ方観世流の加藤眞悟さんが教えてくださいましたが、それはまた今度。

▼天籟能、チケットまだまだあります


天籟能は来月の7日(8月7日)なのに、なんとチラシができたのが数日前。

…というわけで、お席も売り出したばかりなので、まだまだいいお席がございます。

どうぞお出ましください。
 
詳しくは「天籟(てんらい)能」 を!

第四回 天籟(てんらい)能

第四回天籟能

能をはじめてご覧になる方にもお楽しみいただき、そして能を何度もご覧になっている方にはより深い楽しみを!ということで始めました「天籟(てんらい)能」の会。今年は能の『羽衣』と『真田』、そして狂言『萩大名』でお楽しみいただきます。

『羽衣』は、一度は漁師に取られた羽衣を返してもらった天女が美しい舞を舞いながら天上(月世界)に帰っていくという名曲中の名曲。梅若万三郎師の美しい舞をご堪能いただきます。

『羽衣』のストーリーはこちらでどうぞ。→能『羽衣』の影絵ストーリー

『真田』は、一度は演じられなくなった能を復活させたもの(復曲)。なぜ演じられなくなったかというと「能らしくない」から。舞台ところ狭しと何人もの演者が刀で戦いまくるのです。

『真田』のストーリーはこちでどうぞ。→能『真田』のフォトストーリー
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優雅な『羽衣』と、豪壮な『真田』。対極にある二曲をお楽しみいただきます。

そして狂言は秋の名曲『萩大名』。和歌が覚えられない大名と、それを何とか教えようとする太郎冠者。上品な笑いの名曲です。

また、天籟能の会をさらに楽しむためのワークショップも開催しております。参加費はお賽銭。どの回から参加しても大丈夫。ぜひ、お出ましください。

***ワークショップ***

会場:東江寺(広尾)東京都渋谷区広尾5-1- 21→地図
※広尾商店街をまっすぐに来ると山門があります。山門には違うお寺の名前が書いてありますが、気にせず入っていただき、右側をご覧になると「東江寺(とうこうじ)」さんがございます。
時間:19時〜21時 受講料はお賽銭
飛び込みも歓迎ですが、参加お決まりの方は info@watowa.net にメールをいただければと存じます。

第1回 5月24日(火) 「能と狂言を楽しむ」−能・狂言入門−
第2回 6月16日(木) 能「羽衣」の魅力(1)羽衣、ワキ、笛の秘密
第3回 6月28日(火) 復活能「真田」の魅力−シテ方をお迎えして−
第4回 7月12日(火) 能「羽衣」の魅力(2)囃子
第5回 7月19日(火) 能「羽衣」の魅力(3)月宮に昇る天女
第6回 7月27日(水) 公演直前まとめ−初めての方もぜひ− 

◆◆◆天籟能◆◆

2016年8月7日(日)12時開場 13時開演
於 国立能楽堂(千駄ヶ谷)


能『羽衣 和合之舞』(観世流)

シテ 天 人 梅若万三郎 
ワキ 漁師伯龍 安田 登
笛 槻宅 聡
小鼓 幸 信吾
大鼓 柿原 弘和
太鼓 徳田 宗久
後見 中村 裕 梅若雅一

地謡 青木健一 遠田 修
梅若久紀 青木一郎
坂真太郎 梅若万佐晴
永島 充 八田達弥


狂言『萩大名』(和泉流)

シテ 大 名 奥津健太郎
アド 太郎冠者 奥津健一郎
弐アド庭の亭主 野口 隆行
後見 伊藤 泰

解説 石橋山合戦の能 番外曲「真田」 
伊海孝充(法政大学文学部准教授)

仕舞『七騎落』梅若万佐晴

復曲能『真田』(観世流)

シテ 真田与一 加藤眞悟
ツレ 源 頼朝 梅若泰志
ツレ 岡崎義実 伊藤嘉章
ツレ 臣 下 古室知也
ツレ 文蔵家安 長谷川晴彦
ツレ 俣野郎等 梅若久紀
ツレ 俣野郎等 青木健一
ワキ 俣野五郎 安田 登
ワキツレ長尾新五 吉田祐一
ワキツレ長尾新六 高橋正光
間 与一ノ従者 矍畦寛

笛 槻宅聡
小鼓 飯冨孔明
大鼓 大倉慶乃助
後見 梅若万佐晴 中村 裕

地謡 坂真太郎 八田達弥
永島 充 青木一郎
梅若雅一 中所宜夫      終演予定 16:30ごろ

<チケット料金>
正面S席 10,000円(全席指定)
正面A席  8,000円(全席指定)
脇正面席  6,000円(全席指定)
中正面   4,000円(全席自由
※てんらい会員および学生は全席1,000円引き

お申し込み、お問い合わせは
天籟(てんらい)能の会事務局にお願いいたします。
email:noh@watowa.net
TEL:080-5520-1133
FAX:03-3717-3507

あるいは「こくちーず」からでもお申し込みいただけます。
http://kokucheese.com/event/index/407631/

メルマガ2015 2月

こんにちは。能の安田です。

今回のお知らせは「どうしようかな〜」と悩みました。

今度の寺子屋(19日<木>)は、信州(長野県)伊那谷から、人形遣いの百鬼ゆめひなさんを迎えての人形寺子屋です。

百鬼ゆめひなさんの噂を聞き、その舞台を拝見するために、僕はわざわざ京都の石清水八幡宮まで行きました。それでも伊那谷に行くよりはずっと近いんです。しかし、予約をしたときには250人の席はすでに満席間近。やっと取れた席からはほとんど見ることができませんでした。

そんな百鬼ゆめひなさんをぜひ皆さんにもご覧いただきたいのですが、演出の都合上、舞台脇の畳を使うことができないので、いつもよりも席が少なくなるのです。

たくさんの人にご覧いただきたい。でも、多すぎると入らない…というわけで、前回のお知らせでもひっそりと書きました。

もうこうなったら入場料をいただいてハードルを上げようかな、とも思ったのですが、それでは寺子屋の趣旨に反するしね。

そんなわけで、とっても寒い可能性があるのですが後ろのふすまを開けっ放しにして、後ろの人は立ち見という形にしたいと思います。ごめんなさいね。たぶん、かなり寒いです。

こんな感じになります。

*********
前の方:いつものように座る
ちょっと後ろの方:椅子
それより外に出る方:立ち見
それでも入りきれなかったら:適当にお願いします
*********

また、百鬼ゆめひなさんによる上演は30分の予定です。休憩後に安田たち(出演者未定)による『夢十夜』一夜、三夜を上演します。これは、これから百鬼ゆめひなさんと共演をする予定ですので、百鬼ゆめひなさんに僕たちの語りをご覧いただこうと思ってのことです。「もう第三夜は見飽きた」なんていわずにお付き合いください。

この時は、前も使えるようになるので、ふすまも閉め、ちょっと暖かくなる予定です。

※いつもの通り早いもの順です。でも、準備の都合上、今回は6時30分前には開場ができません。

※ちょっと風邪気味かなぁという方はやめておいた方がいいです。本当に寒いです。

※今回はお経はありません。15分ほどお話をしてから始めますが、引き戸を開く音などがしますので、遅刻される方は(本当に申し訳ございませんが)、百鬼ゆめひなさんの公演への途中入場はご遠慮ください。

※8時ごろに一度休憩があります。そこから先はお入りいただけます。

【寺子屋】19時〜
 会場:東江寺(東京都渋谷区広尾)★受講料はお賽銭です。


・2月19日(木)「百鬼ゆめひな 人形の世界」

人形師、百鬼ゆめひなさんをお迎えして、人形と人とが生み出す幻想世界をご堪能いただきます。

百鬼ゆめひなさんのサイト→http://www.yumehina.net/

百鬼ゆめひなさんには、今年上演する予定の『イナンナの冥界下り』と『海神別荘』にもご出演いただきます。

今回は『ゆめひな神楽〜風〜』を上演していただきます。

★寺子屋は飛び入りも歓迎ですが、参加がお決まりの方は info@watowa.net へお願いします。

※なお寺子屋に関しての東江寺さんへのお問い合わせはご遠慮ください。

【能やイベントなど】

●天籟能 6月27日(土)

今年も天籟能を開催いたします。能管の槻宅聡さん、狂言師の奥津健太郎さん、そして安田の三人が主催する能です。

今年の演目は能『藤戸』と狂言『浦嶋』。詳細は追ってご連絡しますが、能『藤戸』と狂言『浦嶋』とを楽しむための寺子屋も行う予定です。まずは【6月27日(土)】をどーんと空けておいてください。

●山のシューレ 6月6日(金)から8日(月)

毎年恒例の「山のシューレ」@二期倶楽部(那須)。今年も行われます。

開き舞台ではシュメール語と日本語による作品『イナンナの冥界下り』を上演します。この演目のための講座を開催の予定。日程の調整中です。こちらもぜひ!

山のシューレ(去年までのものを見ることができます)
http://www.schuleimberg.com/

●最新情報はツイッターからお願いします
http://twitter.com/eutonie(安田登)
http://twilog.org/eutonie(安田の書いた分だけ読めます)

※このメールは、以前のメーリングリスト(以下ML)にご登録いただいた方と天籟能の本番、ワークショップにお出ましいただいた方に送らせていただいております。以降、このメールが不要な場合はお知らせいただければと存じます。

以前のMLは、ある事情により停止しており、寺子屋等のお知らせはTwitterのみでしたが、Twitterだけだと見逃してしまうというご意見をいただき再開いたしました。

 安田登拝

メルマガ2014 6月28日(土)

こんにちは。能の安田です。

▼見えないものを見る力

日本には、なぜ「語り芸」が多いのか。

…なんてことを、このごろ浪曲の玉川奈々福さんといろいろ話しています。

世界にも「語り芸」はないことはないのですが、しかし日本ほど質量ともに充実して
いる国はありません。

それは、日本人は「見えないものを見る」能力に優れた「民族」であるということも、
その一因なのではないでしょうか。

算盤の暗算を習ったことのある子どもならば、空中に幻の算盤を出現させ、その幻の
算盤を使って高度な計算をしてしまう。そんなことをやすやすとする子どもたちの姿
を外国人が見たら、もうニンジャどころの話ではありません。超能力者です。

…とはいえ僕は、それが「遺伝的」な日本民族というものに由来するものであるとは
思っていません。日本という「風土」や、日本の「暮らし」の中に、そのような能力
を育む種がさまざま蒔かれているからだと思うのです。

ですから、そのような風土や暮らしが急速になくなろうとする現代、日本人のそのよ
うな能力も急激に衰退してしまうのではないかという危惧もあります。

▼風景に感情を見る

僕たち日本人の特殊能力は、見えないものを見る、だけではありません。風景に感情
を見るという力もあります。


「情緒」という言葉があります。

日本人は、風景の中に「感情」の「緒(糸口)」を見つけることができます。たとえ
ば唱歌『朧月夜』などは、そこには一切の感情表現がないにも関わらず、風景から感
情が湧き出してきます(特に二番、すごいです)。

http://bit.ly/1hFg2b9

このような感情表現を一切使わない詩歌というのも世界では稀です。しかし、日本で
は、俳句や短歌の多くが、感情表現を意識的に排除します。ただ「情緒(感情が出て
くる糸口)」としての風景をそこに提示することだけによって、各人に沸きあがって
くる感情にあとはゆだねる。それが日本の詩歌です。

▼そして道行

「情緒(感情が出てくる糸口)」としての風景や自然、これを圧縮したのが「枕詞」
であり、それが土地と結びついたものが「歌枕」です。

その「歌枕」を謡い継いで行きながら旅をする。そのような謡いものの形式を「道行
(みちゆき)」といいます。

結婚式などでかつてはよく謡われた能『高砂』の「高砂や〜」は「高砂」→「淡路」
→「鳴尾」と謡い継ぎつつ「住吉」までの旅をします。浄瑠璃には心中の道行があり、
浪曲にも「旅行けば〜」などに代表されるさまざまな道行があります。

この「道行」も日本の「語り芸」の特徴のひとつです。このことについては、今度ゆ
っくり書きますね。

▼「のう、じょぎ、ろう」

さて、こんな語り芸をいろいろな角度から眺めていこうと、玉川奈々福さんと考えて
いるのですが、その第一回目の企画として編まれたのが7月3日(木)の「のう、じ
ょぎ、ろう」の公演です。

これは日本の語り芸の代表である「能」、「義太夫(女義太夫)」、「浪曲」の演者
が一堂に会し、その語りをまとめて聴いていただこうという会です。中世(室町時代)
の「能」、近世(江戸時代)の「義太夫」、そして近代(明治時代)の「浪曲」と語
り芸の変遷も知ることができます。

芸を披露したあとには座談会もします。

このような催しは時々ありますが、演者自らが企画・主催するものはまれです。

ぜひ、ご参加を〜!

※なお、ミシマ社さんの「みんなのミシマガジン」でも「語り芸」についての連載を
始める予定です。お楽しみに。

あ、寺子屋もお忘れなく!今度の月曜日(って明後日)です。

●寺子屋
6月30日(月)
19:00〜
【会場】東江寺(東京都渋谷区広尾)★受講料はお賽銭です。

この回は、通常の寺子屋をします。

『論語』などを読みながら、わいわいとお話をしたり、話し合いをしていただいたり
…そんな寺子屋です。今回は、いつも途中で終わってしまっている…

「リニアな文章と論理が生まれた日」

…について、金文の『大盂鼎』を読みながらやっていこうと思っています。

あ、ちなみにこれ、前回の甲骨文の講座でもお話をしましたので、それに出ていた方
は、もう一度、聞いていただく形になります。ちょっと違う資料も用意しますが、ど
うぞご寛恕を。

飛び入りも歓迎ですが、参加がお決まりの方は info@watowa.net へお願いします。

どうぞお出ましください。

※なお寺子屋に関しての東江寺さんへのお問い合わせはご遠慮ください。

●のう、じょぎ、ろう!7月3日(木)@木馬亭19:00〜
木戸銭:予約3000円 当日3500円 tamamiho55@yahoo.co.jp

どうも私たち日本人は見えないものを見る力に優れているのではないか、なんて話を
寺子屋でもよくしています。

神が見えた祖先たち。現代でも空中に算盤を出現させて暗算する子どもたち。そして
共感覚に溢れる和歌。

それが日本に語り芸がやけに多い理由かもなんて、このごろ玉川奈々福さんとよく話
をしていて、これからそんな語り芸の秘密を探っていこうなどと思っています。

そして、その企画の第一弾がこの「のう、じょぎ、ろう」なのです。日本の語り芸の
中から「能」「女義太夫」「浪曲」の語りを一挙に聴いてみようという会です。

ひとつ30分くらいずつ語り、終わってから語り芸についてわいわいとお話をする座談
もあります。

御予約は玉川奈々福さんへ:tamamiho55@yahoo.co.jp
詳細も奈々福さんのぺーじへ。
http://tamamiho55.seesaa.net/

出演:能 安田登+槻宅聡「隅田川」(語り)夏目漱石「夢十夜(第三夜)」
   女義太夫 竹本越孝+鶴澤寛也「伽羅先代萩 政岡忠義の段」
   浪曲 玉川奈々福+沢村豊子「寛永三馬術」より「大井川乗り切り」
   座談会「のう、じょぎ、ろう!の心意気」

●最新情報はツイッターからお願いします
http://twitter.com/eutonie(安田登)
http://twilog.org/eutonie(安田の書いた分だけ読めます)

※このメールは、以前のメーリングリスト(以下ML)にご登録いただいた方と天籟能
の本番、ワークショップにお出ましいただいた方に送らせていただいております。以
降、このメールが不要な場合はお知らせいただければと存じます。

以前のMLは、ある事情により停止しており、寺子屋等のお知らせはTwitterのみでし
たが、Twitterだけだと見逃してしまうというご意見をいただき再開いたしました。

 安田登拝

おおらかな身体:マンガ版

益田ミリさんの『みちこさん英語をやりなおす(ミシマ社)』を読んで、8コマ×「X」で考えるのって面白そうだと思って、「8コマ思考(って勝手になづけました)」にトライ!すると、なかなかいい。4コマだとウケと狙うことになりますが、8コマだと考えがまとまるし、話が飛びすぎているところが見えてきます

で、ついでなので、いま書いている本をマンガにしてみようと、冒頭部分だけをちょっと描いてみました。お見せするほどのものでもないのですが、せっかく描いたので…。

問題は僕に絵心がないこと。小中学校で図画とか美術とか「2」しかもらったことがなかった…。ですから、デッサンはめちゃくちゃですし、手足はただの棒です。スミマセン…。また漫画家の先生方が使うようなツールは持っていないので、万年筆で描きました。

ちなみに「続き」はありません。

※絵をクリックすると大きくなります(虫めがねが出ている間はさらに大きくなります)。
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02RGB
03RGB

2年ぶりのブログ

最後の記事が「2010年10月29日」ですから、あれから二年もブログを書いていなかったんですね〜。

Twitterに移行してからです。

これからたまに書くようにします。

能『船弁慶』を骨まで楽しむ:PDFをアップ

能『船弁慶』を骨まで楽しむワークショップ、たくさんの方のご来場、ありがとうございます。

第1回の様子と、第2回のテキストをホームページにアップしました。

PDFファイルです。どうぞご覧ください。

http://www.tenrai.or.jp/noh.html

能『船弁慶』を骨まで楽しむ(2)

昨日、10月19日は、能『船弁慶』を骨まで楽しむワークショップの第2回目でした。今回のテーマは、『船弁慶』のテキストを古典作品として読むという「古典の授業」です。

50名の方にご参加いただきました。でも、いつも通り、まったりと始まります。

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●能の構造:序破急

最初に世阿弥の『能作書』から、能の構造のお話。

能は、いくつかのブロックの組み合わせで作られています。このブロックは取り外しが割合簡単で、たとえば薪能が始まる瞬間に急に空模様が怪しくなったら、「じゃあ、あそこカットね」で、その部分だけゴソッと抜いて、あとは普通に・・ということも簡単です。すでに演技が始まっている舞台上で、そういう指示が来ても大丈夫なのです。

で、そんな構造は、すでに世阿弥のころから意識されていて、世阿弥はそれを「序破急」というアイディアで示しています。序破急のアイディア自体は雅楽から借りたものですが、能ではそれをちょっと違った形で使っています。

世阿弥が書いた、能を作るマニュアル『能作書』には、そこらへんのことがかなり具体的に書かれています・・なんて、話をしました。ここら辺の詳しいところは、今度時間があるときにまとめますね。

昨日のテキストの「構造」のページです(PDF)。

この序破急は、能一曲の構造を考える上に重要なだけでなく、たとえば一日の番組に構成を考える上でも大切ですし、あるいは一歩足を出すときとか、ここからあそこに行くときとか、声を出すときとか、すべてのことに「序破急」は意識されます。

また、このアイディアは能に限らず、たとえば講演や授業などでも役に立つのです・・なんて話もしました。これも今度・・。ああ、宿題だけがたまる。

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●ヒアリング

次は前回に引き続き、ヒアリングの練習です。今回もまずは狂言師の奥津健太郎さんに、狂言のセリフを一節謡っていただきました。

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いま何といったか、それを小グループに分かれて、わいわいと話し合います。

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だんだん聴き取るのが楽になってきました。

●さあ、お勉強!

さて、次はテキストを使って『船弁慶』のお勉強です。

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今回は48ページのテキストを作りました。みなさんにお配りしたのはモノクロでしたが、元原稿はカラー版なのです。一部をご覧いただきますね。

こんなテキストです(最初の4ページのみ)。

本文の右側には「ちょっと難しいかな」と思われる語の釈、左側には修辞法、上欄には文学的な説明、下の欄には音楽的な説明が入っています。このテキスト、イラストから本文からDTPまで、すべてひとりでやったのですごく疲れた〜。でも、その肉体労働がいいのかもね。

カラーの方がモノクロよりも、特に右欄が見やすいのですが、カラーコピーにすると、すごい金額になってしまうので残念ながら・・・です。このテキストをご覧になりながら、一緒に朗読したり、あるいは僕たちの朗読を聞いたりするだけで、かなりの意味がわかっちゃいます。

ちなみに次回のワークショップでは、このテキストの配布はありません。昨日、いらっしゃれた方のみということで悪しからず。

さて、今回は古典の授業なので、テキストを見ながら一緒に音読したり、小グループごとに意味を考えてもらったり、僕が謡、みなさんが朗読で掛け合いをしたり、修辞法のお話をしたり・・・。

いろんなことをしました。

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●最後はみんなで謡う!

みなさんで『船弁慶』の最後の部分を謡って、昨日のワークショップはお開きとなりました。

この部分です↓

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膝をぽんぽん打っていただきながら謡いました。

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さ、次は11月11日です。

お待ちしてます。

間(あい)狂言アイコン

さらにアイコンを追加しました。

能『船弁慶』の間(あい)狂言のアイコンです。

『船弁慶』では、狂言の役は義経や弁慶を乗せる船の船頭です。静かな船旅が、急に波風が荒くなるさまを鼓(大鼓、小鼓)とともに表現をするという大切な役です。

実は狂言の人だけ、烏帽子などのかぶり物がないので「ふつうの頭もなあ」ということでチョンマゲにしました。あ、手に持っているのは船を漕ぐための竿です。

目は「あんみつ姫」とか、あの時代の漫画風にしてみました。

kyougen
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